筆者:佐々木健治
北陸に吹き荒れる、冬の冷たい風の音が聞こえる中、十人の門下生が門を叩いてくれた。
今月の門下生は、
・フィンランドでの教育実習から戻り、春から教員として働く方
・フリースクールで子ども達と関わりながら、自身も教育について学び歩く方
・はるばる宮城県から訪れてくれた大学生の方
・経済学部に通いながらも教育に興味をもつ大学生の方
そして…
・熱き志をもった高校生
等々の顔触れとなった。
お題は、『まる』をテーマとし、教育現場にある教育のアレコレについて○×で考えた。
まずは例題を一つ考え、そこからは門下生達で新たな議題へと取り掛かる。
門下生達から出された議題には、
「道徳の教科化は〇か×か」
「夏休みの宿題って必要か」
「部活動は学校の先生がもつべきか否か」
などがあった。
中でも印象に残った議題は、
「小・中学生段階で、将来の夢をもたされること」
その日に参加した三名はそれぞれ「✕」「〇」「✕」のふだをあげて議論を開始した。
一人の門下生が「✕」を挙げ、「夢は職業じゃないとダメなのか…?」と発言。
話を聞くと、門下生自身が中学生時代、将来の夢を発表する場で「お母さんになりたい」と発言したところ、先生に「それは職業じゃないからダメだ」と指摘されたのだそうだ。
確かに一教師として、子ども達に夢を発表してもらう場では「職業を発表する」という大人側の暗黙の了解があったのかもしれない。
しかし子どもからすれば「お母さんになりたい」も立派な夢であっただろう。
その一方で「〇」を挙げた門下生の、
「早い段階で夢を定めることは、進路の選択に役立つ」との意見や、「専門性や計画性にも繋がる」といった意見もあがり、自身の実体験と今の子ども達を重ねながら議論は進み続けた…。
子ども達の未来を見据えながら、優しく・温かく語る門下生達の姿がそこにはあった。
冬の木枯らしとは打って変わって、十人の門下生達が温かい風を運んできてくれたような、ぬくもりある今月の佐々木塾であった。